目次
0. はじめに(今年度のメルマガについて)
1. 食と健康に関する話題
2. 農林水産物の機能性に関するサイエンストピック
3. 研究会からのお願い
0. はじめに(今年度のメルマガについて)
会員の皆様、今年度は研究会会長・兼事務局の矢野がメルマガ執筆を担当しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年度までは
1. 機能性食品等に関するニュース
2. 食や健康に関するイベント
3. 今が旬の農産物紹介
の構成でしたが、今回から
1. 食と健康に関する話題 = その時々の気になるトピックスについて解説
2. 農林水産物の機能性に関するサイエンストピック = 学術論文などで公開された最新情報を紹介
という、新たな構成でお届けしたいと思います。
1. 食と健康に関する話題 - 食と健康に対する行政の取り組み -
健康づくりには生活習慣の見直し、特に“健康的な食と運動を適切に取り入れること”が、重要であることは良く知られています。岩手県民の健康状態は日本の中では最低ランクにあり、健康寿命が男女とも全国最短で、脳血管疾患死亡率も最上位、小中高の肥満率も全国トップクラス、自殺率も全国1位で健康問題がその動機として注目されています。県民の生活習慣見直しは急務です。令和6年度から厚生労働省が中心となって国民的健康づくり運動「健康日本21(第3次)」が始まり、健康寿命の延伸を促す“社会環境の整備”が義務化され、地域ごとの健康格差の縮小が求められています。しかし、そのような社会環境を整えることが本当に可能なのか?疑問が湧きました。そこで「食と健康」に関する行政の政策を、整理してみました。
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【厚生労働省】← 国民の健康・栄養事業の中心
├─ 健康日本21(第三次)(数値目標の設定)
├─ 食生活改善普及運動(食産業関連企業等と連携し健康的な食環境の提供を目指す)
├─ 栄養・食生活指針(減塩・野菜・果物摂取量等の教材を作成し自治体・企業と連携)
├─ 生活習慣病対策(健康診断受診率の改善)
└─ 行政栄養士・公衆栄養(自治体の実働部隊、相談会などイベント開催)
【農林水産省】← 食育・農産物・食文化
├─ 食育推進(食育基本法・食育白書に基づき実施)
├─ 地産地消、野菜・果物摂取促進(学校、家庭、地域での食育)
├─ 食料アクセス(食料・農業・農村基本法、買い物弱者をなくす支援事業等)
└─ 学校給食への地場産物活用
【消費者庁】← 食品の安全・表示・健康食品の監視
├─ 特定保健用食品(トクホ)
├─ 機能性表示食品(制度運用)
├─ 栄養成分表示ルール
└─ 健康食品の安全性監視
【経済産業省】← 健康 × 産業・企業
├─ 健康経営(優良法人の認定制度、従業員の健康づくり)
├─ PHR(パーソナルヘルスレコード=健康データ)活用(経営改善、産業育成)
├─ ヘルスケア産業育成(食と健康の産業化を推進)
└─ 非薬物的介入(食事・運動)のエビデンス構築(産業基盤となるデータ取得と活用)
【文部科学省】← 学校を基盤とした食と健康
├─ 学校給食(食育基本法、地場産物の活用)
├─ 栄養教諭制度(個別指導・個別相談、保護者への情報提供)
├─ 学校での食育(家庭科・特別活動)
└─ 子どもの健康教育(保健体育・健康診断・公衆衛生教育)
【国土交通省】← まちづくり・交通 × 健康
├─ コンパクト・プラス・ネットワーク(人口減少・高齢化社会における都市計画)
├─ ウォーカブル推進(歩きやすい都市)
├─ 公共交通の再構築(移動弱者支援)
└─ 買い物弱者対策(交通 × 商業)
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各省庁、それぞれの領域から健康づくりにアプローチしていることがわかります。しかし、多くは間接的な取組みで、直接市民の生活習慣改善へ関与することが難しいのが現状です。直接的な関与ができる学校では健康な若者が大半を占め、医療現場では治療を必要とする患者が占めています。健康づくりが最も必要で成果が現れやすいのは勤労世代であることから、経産省が進める健康経営の認定、ヘルスケア産業育成などが、より注目されるべきと思われます。今後、社会保障費の抑制(医療・介護の自己負担増など)が避けられない以上、様々な健康ビジネスが登場するかもしれません。
2. 農林水産物の機能性に関するサイエンストピック - 皮膚と歯の相関関係 -
カロテノイドはトマトに含まれる赤いリコピンや、ホウレンソウなどの緑葉食野菜に多い黄色のルテインなど、皮膚や目の健康に貢献する抗酸化成分として知られています。今回、株式会社カゴメと弘前大学の共同研究で、皮膚のカロテノイドが歯周病にも関係することが報告されました
(2026年3月23日https://www.kagome.co.jp/company/news/2026/2026032301.html)。
弘前大学は2005年から、弘前市岩木地区の住民を対象に、大規模な疫学調査“岩木スタディー:岩木健康増進プロジェクト”を続けています。約1,000人の住民を対象に一人当たり4時間以上かけて3,000項目にわたる臨床データを20年以上にわたり取得する、世界的にも例が無い大規模調査です。近年は大企業を含む80以上の機関が参画しており、健康という曖昧な状態を定量的、帰納的に記述することが可能になってきています。歯周病は30代以上の8割の成人が罹患しており、近年は糖尿病や認知症などの全身疾患の増悪因子としても知られています。
今回、歯周病の有病率が、皮膚カロテノイドおよび血中のカロテノイド(ルテインおよびリコピン)が多い群で、有意に減少していること、逆にカロテノイドが少ない群では歯周病の有病率が有意に高いことが明らかとなったということです。カロテノイドは強い抗酸化・抗炎症機能を有することから、歯周組織での炎症を抑制することで、歯周病の発症を抑制している可能性が示唆されています。
一見無関係な皮膚と歯の健康が、鮮やかな色を示すカロテノイドを介して相関していることは、以前は誰も想像していなかった新発見です。
3. 研究会からのお願い
〇会員の皆様からの情報提供について
研究会では、メールマガジンに掲載する、会員関連情報を募集しています。イベント開催や商品案内等、研究会内で共有したい情報がございましたら研究会事務局までご連絡ください。
なお、情報提供にあたっては以下の事項について確認をお願いします。
■原稿は、事務局で確認(会の目的や活動との整合性等)後掲載します。
■メルマガ発行は、毎月最終水曜日となります。原稿は、その前週金曜日ごろまでに事務局までメールにてお願いします。
■原稿様式は、特に定めておりませんがテキスト形式で送付ください。掲載する体裁等は事務局に一任ください。
〇担当者の確認のお願い
人事異動等により担当者が変更となった場合、研究会事務局までご連絡ください。
〇「いわて農林水産物機能性活用研究会」事務局の連絡先
本メールはメーリングリストを利用して送信しております。今回、メルマガが戻ってきてしまうアドレスをリストから外し代表アドレスに差し替える、リストから漏れていた会員のアドレスを追加する等の作業を実施しました。不具合等ございましたら、本メールには返信せず下記担当までお願いいたします。
住所: 〒024-0003岩手県北上市成田22地割174番地4
公益財団法人 岩手生物工学研究センター内
電話: 0197-68-2911 FAX 0197-68-3881
E-mail: akiray@ibrc.or.jp (矢野)